さて、いよいよレトルト内閣「猿とドレス」の本番が近づいてまいりました。昨日、俳優に「猿とドレス」とはどういうことかと聞かれました。多分、皆さんが想像した通りと思いますが「猿とドレス」とは「人間と衣装」ということです。べたですけどね・・・。
裸になればただの黄色い猿が、サテンや絹やらのひらひらしたものでドレープをつくり、波打たせ、あちこちを切ったり結んだり、垂らしたりしながら、赤や青や黄金色のとりどりの宝石などをつけたりしてちょこんと座っているさまは大変滑稽だなということです。
だけど衣装とはいったいなんなんでしょうね?「デザイナー」と「コピー」をテーマにすると決まった時から、ただデザイナーという職業のことだけでなく、「着る」ことや「装う」ことの根源的な意味について考えながら戯曲に取り組みました。それは「演じること」や「存在すること」に広がり、ちいさな猿が大きな他者との間で絶え間ない自己是認と自己否定を繰り返していくことではないでしょうか?
それは何かを纏うことで存在することの大きな怖ろしさから逃げているアダムとイブの姿に帰結していくように思えます。
長く稽古をしてきましたが、ふと気づけば初心から逸脱してばかり…今初心(戯曲)に帰り練習してます。素敵な作品になると思いますからぜひ足をお運びください。
劇場の中の唯一のあなたに向けて作品を作ります。